クレーム対応の基本

電話でのクレームの対応事例 音声が聞こえない?!

電話でクレーム対応する場合は、とにかくまず「相手の話をよく聞くこと」が対面時以上により重要となります。声だけしか手かりがないからです。こちら側からも質問し、状況を把握していき解決策を導き出していきます。

 

2013年の年末ごろだったと思います。

 

クレームの電話がかかってきて女性スタッフが対応していました。3分ほど電話で話していましたが、なかなか解決しません。いったん電話を保留にして、スタッフがこちらに話しかけてきます。

 

「なんかすごく怒ってて、何が言いたいのかよく分からないんですよ。ブルーレイを観てて最初はとにかく不良品だからすぐ交換しに来い!って言ってて、次に音が聞こえないどうにかしろ!って言ってて、もうお前じゃダメだから上の奴に変われ、って言われました。すみません、変わってもらえますか?ほんと、何が言いたいのかよく分からないんです、すみません」

 

女性スタッフは困り果てた顔をしてたので、これはなかなか厄介そうだなと思いつつ、電話を代わりました。

 

「お電話変わりました。音声が聞こえないということですが、どのような状況でしょうか?」

 

「お前のところは不良品貸し出すのか!音が出ない、声が全然聞こえないぞ!早く交換しに来いよ!」

 

もう最初の第一声からとにかく激怒です。こういう場合、こちら側はまずとにかく冷静に状況を把握するのが重要になります。声の感じから相手は40代から50代くらいの男性でした。最初はとにかく怒りっぱなしでした。

 

「すみません、確認したいのですが、映像はきちんと映って音だけが出ない、という状況でしょうか?」

 

「そうだよ、音が聞こえない!どう操作してもダメ!不良品だろ!」

 

「映像は映ってるわけですね?」

 

「ああ」

 

「リモコンで音声の設定を変えても変わりませんか?」

 

「ダメ。全然変わらない。クソ、ふざけんなよ!」

 

映像だけが映って音声だけが聞こえないということはまずありません。その場合は大抵、リモコン操作で音の設定を変えれば普通に聞けるパターンがほとんです。

 

「商品のタイトルは何でしょうか?」

 

「『レ・ミゼラブル』」

 

「こちら側でもブルーレイの操作をして映像と音声を確認してみますので少々お待ち下さい」

 

スタッフにお願いして売場からこの商品のブルーレイディスクを持ってきてもらい、カウンターのブルーレイプレイヤーで再生確認します。再生画面を観ながら電話で話します。

 

可能であるならばこのように、電話の先の人と同じ状況で確かめてみる、ということが有効な方法になります。何が問題かが見えやすくなってくるからです。

 

「お待たせしてすみません。こちらでも再生して確かめています。まず、予告のCMが流れると思うんですが、予告CMの段階で音が出ませんか?」

 

「予告のCMは普通に音が出る。だから変なんだよ!不良品じゃないのか?」

 

ますますおかしいです。CMの音声は普通に聞こえて、本編の音声だけが聞こえないということはまずありえません。方手で受話器を持ちながら、もう方手でブルーレイのリモコンを操作してCMを早送りにして本編を再生させます。

 

「予告では普通に音声が出る、だけど本編がダメ。たしかにそれはおかしいですね」

 

「だろ?」

 

相手の言い分を聞き「たしかに(言ってることが本当ならば)おかしいですね」という姿勢を示すとだいぶ相手の怒りもおさまってきます。

 

「今こちらでも本編を再生しています。はい、最初の場面が映りました。ここから音声が聞こえませんか?音楽も何も聞こえませんか?」

 

「ああ、台詞が聞こえない。変な音楽が流れてるけど。これ前に借りた誰かが上から音楽かぶせたんじゃないか?」

 

ここでやっと原因が分かりました。

 

「音楽は流れてるんですね?歌声も流れてますよね?」

 

「ああ、歌も流れてるけど、台詞が聞こえない」

 

「この作品はミュージカルなんで、台詞も歌なんですよ。こういうものなんです。台詞を歌で歌ってるんです」

 

ここで相手もやっと納得した声になりました。

 

「ああ、これそういうもんなのか!もともとそういうものなのね!ああ、わかった、はいはい。ありがと、じゃ」

 

解決して電話はぷつっと切れました。あれだけずっと怒っていたのは何だったんだというくらい、あっさりと終わりました。

 

女性スタッフにも、この電話してきた人が「ミュージカルであることを知らなかっただけ」だったということを説明しました。

 

本当にごくまれにですが、こういう人がいるのです。おそらくこの電話をしてきた人は普段ミュージカル映画を観ることがまずないのでしょう。だから映画本編が始まって、登場人物が歌っていても「台詞を歌っている」とは思わず「よく分からない余計な音楽が流れている」=「余計な音楽が流れてて台詞がきちんと聞きとれない不良品」だと認識したのでしょう。まったく悪気はないのです。パッケージの説明もきちんと読まずに何となく人気みたいなので借りてみた、ということなのでしょう。

 

正直、単なる勘違いで激怒されてはこちら側もたまったものじゃないのですが、そういう人の話を電話口で聞きながら、相手が何を言いたいのかを探っていくというのも接客の仕事の一つです。電話だと、特にこの「相手の言いたいことを聞きだす」というのが重要になります。

 

このケースの場合は、もし相手の話もきちんと聞かずに、言われるがままに交換の品を持っていっても同じことの繰り返しになるだけだったでしょう。「交換したやつも音声が聞こえないぞ!」と再び電話がかかってきたと思います。

 

そのような二度手間を避ける為にも、電話の段階で「きちんと聞く」ことが大切なのです。

 

当サイトのクレーム対応の基本も参考にしてください。

 

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